Kaoru Saito’s Column

FULLMOON

2023年5月 蠍座の満月🌕

仕事において、どんな場面で
一番喜びを感じるのか?
そこにあなたの人生がある

●“業種ではなく、“動詞”で探すのがコツ
自分が1番やりがいを感じる瞬間を

30代の半ばごろ、ふと立ち止まる時期があった。自分はこの仕事で何をしたいのだろう? 今更のように、それを自問自答してみるために。既にフリーとして仕事をしていたから、本来が自分で選んだ道。それでも気がつくとただ漫然と仕事をこなしているだけで、自分の役割と言うものになかなか気づけないでいたからだ。

社会に出る前は、自分がしたい仕事は何なのか? ひたすら自分の希望ばかり言っていた。でも社会に出ると、したいことと、すべきことは違うのだと痛感させられる。だいたいが、好きなことも嫌いなこともやらなければいけないのが仕事。

そこで嫌いな仕事に回されたとしても、ちょっと立ち止まって考えるチャンスにしてみたいのだ。社会における自分の役割とは何なのか? それに気づくと本当に楽になる。どんな仕事にもやりがいを見つけることができるから。またそれがすなわち、社会におけるあなたの役割だからである。

ただし、一つだけ条件がある。それをぜひ、“動詞”で見つけて欲しいのだ。
どういうことかと言えば、「企画」志望だったのに「営業」に回されたら、全てが嫌になってしまう。だから“業種”でなく“動詞”で自分がすべき仕事を探すのだ。自分は何であれ、「人を喜ばせること」にやりがいを感じると言うふうに。

●クレーム処理で、人に謝っていることに
喜びを感じる人がいる

だから今までの仕事の経験を振り返って、自分は何をしているときに1番心が震えるか? まずはそれを探ってみて欲しい。
「仕事を効率よく済ませること」で喜びを感じる人、「頼まれたこと以上の仕事をして褒められること」に心が沸き立つ人もいるのだろう。
そうやって職種を超え、業種を超えて、自分にとっての仕事のツボが一体どこにあるのかを探る。正直そんなものは学生のうちはわからない、社会に出て1年目2年目も、まだわからない。でもそれなりの経験を積むうちに、何をしている時が一番嬉しいのか、自ずとみえてくるはずだから。

ある人は、「なぜだか謝ってている時に喜びを感じる」と言った。いわゆるクレーム処理、それは多くが“厄介な相手”の気持ちを落ち着かせ、納得させて、機嫌良くさせるまで、ひたすら低姿勢に謝り続ける忍耐のいる仕事だが、最初はひどくストレスを感じたものの、自分は怒っている人間をなだめるのが得意かも、と気づいた時から、それが喜びに変わったと。
彼女は今、ある企業のお客様センターの室長となっている。

●仕事との間に不協和音が流れ
だんだん自信がなくなってくる?

逆に言えば、それをどこかの時点で見つけないと、いつまでたっても、仕事に達成感や充足感を感じられない。仕事で幸せを感じることができないはずなのだ。やがて仕事との間に不協和音が流れ、だんだん自信をなくし、そして不幸感をもつようになって。だから、なるべく早く気づくべきなのである。

私の場合はその時、数時間位をじっくりかけて考えた。目立つことはしたくない。人前で話すことも苦手。やっぱり書いているのが一番好き。じゃあ何を書いている時? 例えば、人やブランドに対し、本人たちが気づいていないであろう魅力を勝手に分析して伝えてあげること。つまり、気づきを提供すること……そんなふうに、できるだけ具体的に。

気づきを提供するなんて、偉そうに聞こえるかもしれないけれど、たまたまそういう瞬間があった時、無性に喜びを感じ、それをテーマにするようになったら、仕事に迷いがなくなったのは確か。だから無理矢理でも探してみたいのだ。“そういう瞬間”を……。

さあ、あなたの場合はどうだろう。どんな仕事に喜びを感じるか、具体的に見えてくるまで、じっくりと考えてみて欲しい。その日から、あなたが変わる。生き方が変わる。仕事との向き合い方だけでなく、あらゆる場面で前向きな考え方ができるようになるはずだから。

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Kaoru Saito

齋藤薫

美容ジャーナリスト
/エッセイスト

齋藤薫

美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。最新刊は初めての男モノ『されど、男は愛おしい』(講談社)。また『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など多数。