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【第六回】表皮でバリア 肌の本体、真皮を育てよう!

 みなさん、こんにちは。アンチエイジングの鬼・勝田小百合です。

 長かった夏も終わり、ようやく秋冬のシーズンですね。この写真は10月のアムリターラ農園の稲刈り前の写真。今年も見事に実りました。

 紫外線が気になり光老化が進みやすい時期はようやく落ち着きますが、この先は外気の寒さや乾燥がお肌にも影響して、潤いが不足してきたり、それによる肌荒れ、カサつきなどのトラブルも起きやすくなります。

 何よりもそのことは、肌のバリアを低下することに繋がってしまいます。鬼的にはこの季節、それが一番嫌なことです。

肌バリアって何?

 こちらはお肌の断面図です。大きく分けて表皮と真皮に分かれており、表皮は0.1㎜~0.3㎜ほどの薄さ。その下の真皮は2㎜前後です。

 このうちで肌バリアと呼ぶのは、一番上の角質層と、その上に薄くのっている皮脂膜で構成されています。皮脂膜は私たちが分泌する汗や皮脂が混ざり合って出来た天然のクリームで、その下の角質層はわずか0.02㎜です。

 肌バリアの重要な役割は、肌表面からダニやホコリ、バイ菌などの異物が入ってこないようにすること。そして体内の水分や肌の水分が蒸発しないように守る働きもありますし、日常紫外線をある程度吸収したり、反射させたりすることも出来ます。

 「私は敏感肌です」と言う方は、すなわち肌のバリアが弱っているということです。肌バリアが薄くなっているので、強めの化粧品成分や外気や接触などの刺激に対する防御が出来なくて、赤みや痒みが出てしまうのです。

 乾燥肌を自覚されている方も、もしかしたら肌バリアが薄く、弱くなっているかもしれません。角質層はアップルパイのように10層~20層が積み重なっていて、その隙間を埋めているのがセラミドです。セラミドや皮脂など肌バリアの原料が少なく、角質の層も薄いと、角質に20~30%含まれる水分を維持できず、乾燥肌になっていきます。

肌バリアが弱いことの、本当のこわさ

 以上のように、肌のバリアは見た目の美しさを維持する上でも非常に大切ですが、肌バリアを含む、このたった0.2㎜の表皮の本当の役割は「肌の本体でもある真皮を守ること」だと私は考えています。

 真皮は表皮の下にあり約2㎜の肌の本体であり土台です。表皮にはありませんが真皮には毛細血管があり、神経があり、線維芽細胞がコラーゲン線維、エラスチン線維、ヒアルロン酸などを作り出しています。

そうです!肌のハリも、弾力も、瑞々しさも、豊かさも、

本当は真皮が作り出しているのです。

 真皮には毛細血管や神経だけでなく、リンパ管、汗腺、皮脂腺もあり、表皮に栄養を与えているのも真皮です。

ところが悲しいお知らせです。

表皮は約28日、年齢を重ねた肌でも40~50日くらいでは生まれ変わりますが、

真皮は生まれ変わるのになんと3年~5年もかかります。

 表皮に何かあってもなんとか修復出来ますが、真皮が傷つくとなかなか改善が難しいのはこのせいなのです。真皮のコラーゲンとエラスチンが減ったり、傷ついて変性すると消えないシワやたるみを引き起こします。

 私は肌のアンチエイジングについて探求する中で「真皮」が一番大切であることに気がつきました。そして真皮を守っている「表皮」、その中でも「肌のバリア」がしっかりあれば、肌の本体である真皮を外敵から保護することが出来るということに着目したのです。

 私は、化粧品の一番の役割というのは、年齢と共に減っていく皮脂や水分を補って肌バリアの最前線である皮脂膜を助けたり、やはり年齢と共に減る角質のセラミドやNMFを補って角質の城壁を強化して、より良い肌バリアを作ることにあると思います。

 そして何よりも重要なのは、肌バリアは皮脂やセラミドなどの脂質が、大きな役割を持って構成されているので、これらを洗顔で洗い流しすぎると、どうしてもバリアは薄くなるということです。バリアが薄いと日々の守りが弱いので、真皮へのダメージは溜まります。

 肌のバリアのためには特に「クレンジング」や「洗顔料」の成分には注意をして下さい。

 私がアムリターラを作った大きな理由は、水と油を混ぜるための界面活性剤を天然のレシチンや石鹸少々で処方するバリアを揺るがせない優しい化粧品を作ることでした。  

 ただし、メイク用品に合成樹脂の「シリコーンオイル(成分名はジメチコン等)」が含まれていると、合成界面活性剤がしっかり配合されている強いクレンジングが必要になってしまうので、クレンジングとメイク用品はセットで考えるようにしたほうがいいです。

真皮が傷つき減っていく、さまざまな理由

 さて、こちらの顕微鏡画像をご覧下さい。一番上の濃いグレーの細い層の部分が表皮、その下の圧倒的に厚い薄いグレーの部分が真皮です。赤線から下が皮下脂肪。

 年齢と共に、こんなに真皮が薄くなるんですよ!こわくないですか?

表皮にどんなメイクを施そうと、表皮が一見つるんと綺麗でも、

本体の真皮が減れば肌はハリを失い、

消えないシワやたるみが出るのは道理でしょう。

 大きな外的要因はもちろん「光老化」。紫外線の95%を占めるUV-Aやブルーライトや、それに伴う活性酸素が真皮のコラーゲンやエラスチンを分断、線維芽細胞が生成するコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの真皮成分の量が減少し、コラーゲン分解酵素も過剰に発生させてどんどん真皮が減ります。これに関しては第4回で書きましたね。

 光によって発生する主な活性酸素は「一重項酸素」ですが、これを処理する力が強いのが植物や藻が持っている「カロテノイド」という色素です。私はβカロテンやアスタキサンチンなどを配合したクリームを開発して、表皮の抗酸化力を上げる試みをしています。

 また、光で発生する活性酸素は他にも「スーパーオキサイド」「過酸化水素」「ヒドロキシラジカル」があるので、これらすべてに消去能力を発揮する天然ミネラル「セリウム」を使ってサンスクリーンを作ったりしています。

 真皮が減少するもうひとつの理由が「糖化」。食べ物から摂取する糖質が身体のタンパク質と結合してAGE(終末糖化産物)を生成し、線維芽細胞を劣化させる原因となります。肌の場合はコラーゲンやエラスチンが糖化で硬く脆くなることで、線維芽細胞が衰えて減少していきます。私はこれが嫌だから、お菓子をたくさん食べるということはしないですし、炭水化物もエネルギーのために大事なので抜きはしませんが、多くは食べません。AGEを作りにくくする植物を7種類配合したサプリメントや、角質にたまるAGEを溜まりにくくさせるクリームなども開発しています。

 もちろん加齢によって骨髄の中にある線維芽細胞の幹細胞が減ることも問題で、大元の幹細胞の数が目減りしていくと結果的に線維芽細胞も減るので、真皮を構成するコラーゲンやエラスチンが作られにくくなるのも要因。これにもストレスや紫外線による活性酸素が関わっており、毛細血管の衰えによる幹細胞への栄養補給の停滞という理由もあります。毛細血管や血流については第5回で書きました。

 そして、ストレスはコルチゾールというホルモンを増やし、それが線維芽細胞の働きを抑制してしまいコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の分泌が減少し、さらには表皮のターンオーバーまで遅くなることも分かっています。ストレスを解消しつつコルチゾールを減少させる、GABAのサプリメントを摂るとよいですね!

真皮を育てよう!

 さて、防御の話ばかり書いてきましたが、加齢と共に薄くなりがちな真皮。アクティブにダイレクトに増やす方法はないのでしょうか。以下、鬼調べです。

 代表的なのはやっぱりビタミンCですね。線維芽細胞を活性化し、コラーゲンやエラスチンやヒアルロン酸の生成が高まり、未熟なコラーゲンを壊れにくいコラーゲンに変化させる働きも持っています。

 また、コラーゲンを摂っても、胃腸で分解してアミノ酸になるからコラーゲンとしてそのまま吸収されるわけではないですが、近年の研究で、コラーゲンを酵素で細かく分解した低分子の「コラーゲンぺプチド」には、線維芽細胞を増やす働きがあるということが発表されています。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/44/4/44_440408/_pdf

 また、魚や鶏や牛の軟骨などに含まれる「プロテオグリカン」にも、線維芽細胞を増やす働きがあり、コラーゲンやヒアルロン酸の生成も促します。その保水性によってなめらかな関節の動きにも作用するんです。

 あとは、やっぱりレチノール。ビタミンAですね。レチノールは体内でレチノイン酸になり、細胞の中の受容体に作用し、肌では線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの生成を促し、表皮のターンオーバーも促進してニキビやシミの解決にも寄与してくれます。

 レバーやウナギ、ホタルイカなどの動物食品に多く含まれていますが、プロビタミンAとして緑黄色野菜のカロテンを摂ると、体内で必要なだけレチノールやレチノイン酸になってくれます。意外かもですが、海苔や海藻にも多いですよ!

 レチノールは外用として肌に塗るのも同様の効果がありますが、赤みや刺激の副作用が心配でした。しかし最近、緑藻のクロレラ由来で、刺激がないレチノール様原料を入れたクリームも開発しました。

 また、外用でいうとアムリターラで化粧水にも入れている「LPS」という物質。「リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)」の略で、グラム陰性細菌の外膜を構成する成分です。免疫細胞のマクロファージを活性化することで、内外通じていろいろな良い働きがあるのですが、マクロファージの活性化を通して線維芽細胞のヒアルロン酸合成能力を高めるエビデンスもあります。

 最後におまけとして。2023年に発表された立命館大学とポーラの研究で、有酸素性運動と筋力トレーニングで、真皮の厚みを増加させたという結果が出ています。

https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=576787&f=.pdf

「40~50 代の女性 61 名を有酸素性運動の群と筋力トレーニングの群に分け、4 か月間に渡り週 2 回の運動を行っていただきました」と言うことなんですが、なんと!どちらも真皮の線維芽細胞活性の効果があったそうです。

 週2の運動で真皮が増えるなんて、なんて素晴らしいんでしょう!これはやらない手はないですね!

肌の本体は真皮!

そしてそれを守るのは表皮の肌バリア。

真皮の減少を防いで、真皮を育てましょう!!

著者:勝田小百合

1968年大阪府生まれ。カイロプラクターとして骨の歪みの矯正から、食事や生活指導も行う代替医療の治療家。30代からエイジレスな生き方の研究を始め、2005年に始めた「アンチエイジングの鬼」が超人気ブログとなる。2008年、国産オーガニックコスメ&フーズブランドの草分け「アムリターラ」を創業し、現在も代表と商品開発を兼務。

アンチエイジングの鬼 コスメキッチン出張所

株式会社AMRITARA代表 勝田小百合

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