星周りからして、今年は「価値観がガラリと180度変わってしまう年」なのだそうである。でも当初、意味がわからなかった。価値観が180度変わる……そんなことってあり得るのか。そもそも価値観とは一人ひとりの心の中にあるもの。それが一斉に180度変わるなんてことが、果たして起こり得るのかと。

でも今年、まさに世界中が一斉に不測の事態に見舞われ、想像もつかなかったことがいろいろと起きている。学校の休校、在宅勤務、イベントやライブの中止。海外渡航の禁止。そしてあろうことか、オリパラまで……。2020年が華々しくスタートした時点で、一体誰がこの事態を予測できただろう。

ただ振り返ってみれば、去年の段階でスビリチュアル系の人々は、価値観の変化に加え、口々に「東京オリンピックが見えない」とも言っていた。つまり“まさかと思うこと”が本当に起きてしまった結果、価値観が180度変わってもおかしくないと言う流れになっていることを痛感させられたのだ。当たり前に思えたことが当たり前でなくなり、まるで疑っていなかった未来が180度違うものになってしまうのだから。しかもそれを誰のせいにもできない。自分事として、自分の心の中で処理しなければならないのだから。

例えば心底楽しみにしていたイベントがなくなったとしても、誰のせいでもない。逆に、自分のため、そして周りの人々のために、そこへ行かない。暗黙のルールを粛々と守るだけ……今まで味わったことのない感覚だ。

そして同時に私たちは、一定期間家にいて、1人1人が自分自身と深く向き合うことになった。そこでとても重要なことに気づいたはずなのだ。何が起きても不思議ではない時代ならば、何が起きても揺らがない自分を作っておく大切さ。免疫力であり、心の強さであり、生命力そのものを厳然と備えておく大切さをひしひしと思い知ったはずなのだ。それは、自分がウィルスを跳ね返すだけの力を備えて、周囲に決して迷惑をかけない自分であるためにも。

もう一つ、自分はなんとか大丈夫。では、あの人は大丈夫？この人は大丈夫？みんな大丈夫？そうやって他者を思いやる大切さ。自分が健康なら、相手の無事を心から願える。それこそ、今この状況の中で困っている人、苦しんでいる人、名も知らぬ人たちのことを案じることができる。たとえ言葉にしなくても、きっとそういう心境になったのではないか。
ふと、手紙の前文を思い出した。時候の挨拶に続いて、相手の安否を訪ね、そして自分の近況を述べる。『お元気ですか？私は元気です』他に言葉はいらない。たったそれだけでも、相手を癒し自分自身を癒すことになる。と同時に、人と人との絆はぐんと深まるはずなのだ。あなたは元気？ 私は元気！それだけで良い。それ以上の言葉はいらない。モアザンワーズ。今こそその原点に戻って、人とのつながりを確かめ合いたい。180度の変化とは、人付き合いを含めた物事の全てが複雑になりすぎた時代、当たり前の心に戻ることなのかもしれない。だからまずは自分が力を持つこと。あなたは元気？と聞けること。